高齢者施設における新型コロナウイルス対策

最終更新日:2020年09月15日

 緊急事態宣言解除後、それほど間を置かず第2波の真只中です。ピークアウトしたかといわれる中、感染者数も少しずつですが減少しています。高度医療機関におけるECMOや人工呼吸器使用者、いわゆる重症者数は明らかに減少しているものの高齢者施設でのクラスター(感染者集団)発生報告が各地で相次いでいます。

 

Ⅰ 高齢者施設クラスターの特徴

①基礎疾患(肺・心臓・腎疾患や糖尿病)を有している方が多いです

②認知症を合併している方が多いです

③口から十分に食事を摂取できない方がいます

①③は、重症化しやすく死亡につながりやすいです。②は施設内感染拡大の原因となりやすいです。

 

Ⅱ 施設におけるクラスター予防対策

①とにかくコロナ持ち込みを防ぐことです。新規入居者、スタッフ、業者の健康管理の徹底、面会者の制限(リモート面会など)をします。

②地元医師会や在宅医療機関による施設スタッフ教育を徹底することで、感染に対する意識を向上させます。

③手袋、マスク、ゴーグル、エプロン、アルコール等の必要資材を確保します。行政が不足物資のアンケートを行い、必要に応じて支給してもらいます。

しかしどんなに注意を払っても100%クラスター発生を防ぐことは不可能です。発生した時を想定したシミュレーションは絶対に必要です。この際、重要なのは犯人探しをして追いつめないことです。

 

Ⅲ 感染発生した時

①ゾーニング

感染が疑われる方や濃厚接触者を個室管理します。生活空間、食事場所を分けます。

②訪問型PCR検査を実施します

陽性者は原則入院となります。

③スタッフが感染した場合

勤務体系の変更や応援職員を派遣します。

Ⅲ ①~③について、神奈川県医師会は神奈川県と共に次のような対応を現在進行形で推進しています。

 Ⅲ① C-CAT(コロナ・クラスター・アタック・チーム):病院や高齢者施設等で新型コロナウイルス感染者が発生した際に、保健所からC-CATを派遣し、感染の拡大を防止するために、人、物資等の支援を行います。また、感染前でもC-CATを派遣しゾーニングや感染防止対策を指導します。(感染防止対策のDVD等を作成して、一般病院等の感染症防止教育を行っています。)

 Ⅲ② 本県においては、8/1より全県を対象に、訪問型PCR検査の医療機関の募集を開始しており、医師会等の地域検査場に来ることができない医療的ケア児(者)、障害児、高齢者施設入居者等に対して在宅医や施設の配置医等が、「訪問型PCR検査」を実施しています。

 Ⅲ③ 応援職員の派遣:福祉施設において新型コロナウイルスの感染者が発生し、職員の入院や自宅待機などによって、施設本来の福祉サービスの維持が難しくなった場合、予め登録いただいていた「応援職員を派遣することが可能な施設」や「短期的に勤務ができる方」を神奈川県社会福祉協議会がマッチングを行い、職員を派遣したり、短期雇用できる人材を紹介したりします。派遣に伴う旅費や雇用費等は、県が財政支援を行います。

 上記以外でも、介護者がコロナ感染し入院や入所で不在となった在宅高齢者・障がい者への対応として、まず濃厚接触者ということでPCR検査を実施します。

陰性:専用の短期入所協力施設

陽性:重点医療機関等への入院または専門のケア付き宿泊療養施設

 家族が新型コロナウイルス感染症で入院し、介護者が不在となり、在宅で高齢者や障がい者の方が取り残された場合に備え、本人が陰性の場合に受け入れる「短期入所協力施設」(介護保険事業所3か所、障害福祉事業所2か所)並びに「ケア付き宿泊療養施設(陽性対応)2か所」を設置しています。