医療崩壊とは何なのか

最終更新日:2020年12月22日

 第3波新型コロナウイルス感染拡大が止まりません。全国でも感染者数が12月12日に3000人を上回り、神奈川県でも最多更新が続いています。

 政府は「Go Toトラベル」継続による経済活性化と感染拡大の防止という二正面作戦を展開しましたが、完全な失敗と言わざるを得ません。ステージⅡから一気に状況はⅣに近くなっています。「勝負の3週間」はどこにいってしまったのでしょう?

 この状況下での最優先課題は「医療崩壊」の回避です。神奈川県では新型コロナ感染者受け入れの機能に応じて神奈川モデルを設定しています。

  • 高度医療機関 → 重症者(人工呼吸・ECMO)
  • 重点医療機関・協力医療機関 → 中等症(酸素投与+α)
  • ⾃宅・宿泊施設等 → 無症状・軽症(酸素投与不要)

 マスコミ報道で得られる情報の大部分は、新規感染者数、重症者ベッド数、病床利用率、ECMO・人工呼吸器充足数等です。しかし、最前線で進行しつつあるのは高齢者施設におけるコロナクラスター発生です。ここに全く性質の異なる“医療崩壊”が全国で始まっているのです。

 要介護者が入院になった場合、1日に複数回の食事や排せつ介助の業務に数名の看護師が関わることになり、本来の医療を大きく圧迫することになります。さらに完全防護衣着用下での作業による心身の疲弊は、想像を絶するものがあります。そこに従事スタッフが感染するという直接リスクも加わります。スタッフの欠落による要員不足で病棟閉鎖も相次いで報告されています。

 「医療崩壊」とは救急医療や手術を始めとする「本来あるべき医療ができない」ことです。ベッド数不足は軽快退院者が出れば数の上では回復しますが、従事スタッフの心身面での疲弊・欠落を回復させるには数カ月を要するのです。

 今できることは施設内にコロナを持ち込まないことに尽きます。それには外出制限、面会制限の継続です。さらに施設入居者や介護従事者への検査の徹底です。県民の皆様、ワクチン接種できるまで医療へのご理解ご協力をお願いいたします。