神奈川県医師会医業承継事業実施要綱
(趣旨)
第1条 この実施要綱は、県内医療機関の後継者不在等により譲渡を検討する開業医(以下「譲渡希望医」という。)や県内での開業を希望する医師(以下「開業希望医」という。)などへ支援をし、神奈川県内の地域医療提供体制の維持を図ることを目的に医業承継事業の実施に関する事項を定めるものとする。
(内容)
第2条 公益社団法人神奈川県医師会(以下「本会」という。)が実施する医業承継事業は、本会事務局内に相談窓口を設置し、譲渡希望医や開業希望医などからの相談を受け付け、必要に応じて本会が保有する承継等情報を提示するなど以下の支援を実施する。ただし、開業希望医への支援については、医師会への入会を前提とする。
- 医業承継等に関する相談
- 相談者の承継会員(第7条を参照。)への登録
- 本会が保有する承継等情報の提示
- その他上記を実施するために必要な一切の事業
(基本方針)
第3条 本会は「相談窓口」を設置し、譲渡希望医や開業希望医などからの問い合わせ・相談を受け付け、本会が保有する承継等の情報を提示することで事業を推進していく。譲渡希望医、開業希望医とのいわゆるマッチングや、一部の特定専門業者の斡旋を推進していく事業ではなく、あくまで承継等の情報提示をすることで、問い合わせ・相談をした者への支援を実施する。
(相談窓口の設置)
第4条 本会事務局内に「相談窓口」を設置し、譲渡希望医や開業希望医など承継・開業を希望する医師からの相談等を受け付けし、医業承継事業を実施する。
(承継会員の登録)
第5条 承継会員とは、本会が設置した「相談窓口」へ問合せ・相談をし、承継・開業など本会が保有する情報の提示等を求める者を指し、本会会員に限らない。そして、本会が管理する「承継希望医療機関一覧」(以下、「承継案件一覧」という。)へ掲載を希望する者(譲渡希望医)又はその承継案件一覧の提示を希望する者(開業希望医)は、「登録票」(別記様式第1号及び第2号)へ所定の事項を記載の上、本会へ提出することにより行う。
(会員登録の不承認)
第6条 本会は登録審査の結果、登録申込みをした個人・法人・団体・組織等が以下の何れかに該当することが判明した場合、その個人・法人・団体・組織等の登録を承認しない場合がある。また、承認後に判明した場合も承認を取り消すことがある。
- 登録申込みをした個人・法人・団体・組織等が要綱に記載の「登録の対象者」でない。
- 登録申込みをした個人・法人・団体・組織等が実在しない。
- 登録申込みの際の申告事項に、虚偽の記載、誤記、または記入漏れがある。
- 本会の医業承継事業にて知り得た情報を業者など第三者へ漏洩した場合。
- 本実施要綱に違反する行為を現に行いまたは行うおそれがあると本会が判断する場合。
- 反社会的活動を行う団体もしくはこれらと関連のある団体その他反社会的勢力に所属している者またはそれらに所属していた経歴を有する者。
- その他本会が会員とすることを不適当と判断した場合。
(会員情報の変更)
第7条 承継会員の会員情報の変更については、以下のとおり対応していく。
- 承継会員は、登録情報(住所・電話番号等)に変更があった場合、速やかに本会所定の方法により、変更事項を本会に通知するものとする。
- 前項の届出がなかったことで承継会員が不利益を被ったとしても、本会は一切その責任を負わないものとする。
- 登録情報の変更がなされなかったことにより、変更を怠った承継会員と、この承継会員に対しマッチング希望をした承継会員に生じた損害について、本会はいずれに対しても一切責任を負わないものとする。
(登録の削除)
第8条 承継会員の登録の削除については、以下のとおり対応していく。
- 本人から取り消しの申し出があった場合。
- 長期間にわたり理由なく連絡がとれない場合。
- その他登録者として不適格と認められる事実が発生した場合。
(会員の責任及び注意義務)
第9条 承継会員の責任及び注意義務については、以下のとおりとする。
- 本事業の利用により発生した損害については、本会に故意または過失がない限り、責任を負わないものとする。なお、本会が責任を負う場合であっても、故意または重過失がない限り、直接かつ通常の損害に限られるものとする。これは、第三者に損害を与えた場合も同様とする。
- 譲渡希望医は、別添の「様式第1号」の登録票へ所定の事項を記入・提出した時点で、その情報は本会が管理する「承継案件一覧」に追加され、本会が開業希望医へ提示する承継情報に掲載してよいことを承諾したものとみなす。
- 開業希望医は、別添の「様式第2号」の登録票へ所定の事項を記入・提出した時点で、開業希望医は、本会の「承継会員」となり、受領する秘密情報については、注意義務をもって取扱い、厳重に管理するとともに本案件の目的以外には使用しない守秘義務を負うことを承諾したものとみなす。また秘密情報とは、譲渡希望医が承継遂行のために開業希望医に開示する営業上、技術上またはその他の業務上の秘密性を有する一切の情報を意味するものとする。
- 承継会員は、自己の責任にもとづき本事業を利用するものとし、承継会員が公開する情報について、全て自己で責任を負うものとする。
- 承継会員は本会に対し、他人の著作物を使用したことなどが原因で紛争、損害賠償の請求などが起こった場合の損害、責任について一切を免責するものとし、自らの責任を持って紛争に対処するもの とする。
- 承継会員は、開業希望医からの問合せ情報が少ない、又は承継希望医による承継案件が少ないことを理由として本会に対して、何らの請求権を有しないこととする。
- 承継会員は、本条で定める行為において本会に損害を与えた場合は、本会が当該会員に対して損害賠償を請求できる権利を有することを認めるものとする。
(承継手続き)
第10条 承継手続きについては、以下のとおり対応していく。
- 本会は、譲渡希望医、開業希望医に対し、本会が保有する承継等の情報を希望に応じて提示する。
- 譲渡希望医に対しては、譲受する医師を紹介等支援する専門業者一覧を提示し、対応していく。
- 譲渡希望医は、任意により、本会が開設するホームページ上に自院の譲渡情報(所在市町村名、診療科名など)を公開し、開業希望医を募ることができる。
- 開業希望医に対しては、融資、開業地情報、専門家の紹介など、本会が保有する開業情報を提示し、対応していく。
- 開業希望医は、本会ホームページ上、又は本会が提示する書類にて公開する「承継案件一覧」の中からご希望の医療機関があれば、それを選択し、本会は、その医療機関の詳細な情報を提示する。
- 譲渡希望医、開業希望医両者において、承継意向があり、承継成立に向けて手続きが進められる場合、当事者及びその顧問等である弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、不動産鑑定士その他のアドバイザー(併せて以下「関係者」という)間で「秘密保持契約」を締結することを勧奨する。
- 承継成立に向けての取り決めや折衝・調整等手続きは、当事者およびその関係者間で実施していき、本会は原則、介在しない。ただし、当事者からの要望により、取り決め等手続きを仲介する専門家を求められた際は、その専門家を紹介する。なお、その承継手続き等費用についても当事者およびその関係者が負担するものとする。
- 承継が成立した場合、開業希望医又は承継希望医など承継会員又はその関係者からの報告を本会は受けるものとする。
(費用)
第11条 承継会員登録及び、本事業の利用については無料とする。ただし、本事業はあくまで本会が保有する承継情報を提示する支援であり、その後の承継成立に向けての取り決めや折衝・調整等手続きは、当事者間およびその関係者間で実施するものとし、その際にかかる手数料等費用は本会では負担しない。
(医業承継管理簿)
第12条 本会は、譲渡希望医又は開業希望医など承継会員について管理簿を作成し、管理するものとする。
(個人情報の取扱い)
第13条 本事業において扱う情報のうちの個人情報については、本会が定める個人情報保護規則を則りつつ、以下のとおり対応していく。
- 譲渡希望医の情報(医療機関の所在市町村名、診療科名)について、本人の承諾を得た上で本会ホームページ上に公開することとする。
- 承継会員として登録した際、取得した個人情報については、本事業以外に使用しないものとする。
- 譲渡希望医、開業希望医両者において、承継意向があり、承継成立に向けて手続きが進められる場合、当事者及びその顧問等である弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、不動産鑑定士その他のアドバイザー(併せて以下「関係者」という)間で「秘密保持契約」を締結することを勧奨する。
(担当課)
第14条 本事業の担当課は病院診療所支援課とし、相談窓口も同課内に置く。
(その他)
第15条 この実施要綱に定めるもののほか、本会における医業承継事業に必要な事項は、本会内で協議して決定する。
付 則
この実施要綱は、令和 4年2月1日から施行する。