持病をお持ちの方たちへ~コロナ感染との向き合いかた~

最終更新日:2020年05月08日

 コロナウイルス2019 (COVID-19)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2 (SARS-COV-2)により引き起こされる感染症です。3月13日、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案が国会で成立しました。その後、4月7日には神奈川県を含めた、7都府県に対し、法律に基づく「緊急事態宣言」が発令されました。4月16日には「宣言」の対象地域が全国に拡大されるとともに、6つの道府県を加えた13の都道府県が、重点的に感染拡大防止の取り組みを進める「特定警戒都道府県」に指定されました。我々は、人との接触8割削減という目標のため、強制力こそありませんが、不要、不急の外出を制限されています。

 その影響は、診療所や病院にも及んでいます。持病のある患者さんが、COVID-19感染を警戒するあまり、診療所や病院への受診を差し控える傾向にあるからです。我々医師が、一番恐れていることは、慢性疾患に罹患している患者さんが、通院を途絶し、薬を自己判断で中断してしまうことです。薬を中断することにより、持病が悪化する可能性があります。また、COVID-19感染そのものが、持病を有している人ほど重症化する可能性があると言われています。患者さんはそれぞれ、見合った方法で薬を継続していただくことをお願いします。すでに、ご存じのように、厚労省は、電話等を用いた受診を再診だけではなく初診患者にも適用する、特例的な対応に踏み切っています。診療所を直接受診することに不安を感じる患者さんは、かかりつけ医と相談の上、無理のない方法を選択してください。

 SARS-COV-2は人の細胞に侵入する際に、ACE2受容体という細胞表面に存在する酵素に結合することが知られています。降圧剤として日常診療のなかで用いられている、アンジオテンシン受容体拮抗薬 (ARB)やアンジオテンシン変換酵素阻害薬 (ACEI)という薬剤は、動物実験レベルではありますが、ACE2受容体を増やすことが証明されています。そのため、これらの降圧剤を服用していると、COVID-19感染を増やすのではないか、あるいは、重症化する人の割合が増えるのではないかと懸念されています。しかし、現状では、そのような事実は認められていませんし、客観的な証拠も示されていません。高血圧関係の各学会は、現段階では、ガイドラインに則り、これらの薬剤による治療の継続を推奨しています。ARBやACEIを服用中の患者さんは、引き続き、服用を継続していただくようお願いします。

 病気にかかりたいと思う人はいません。しかし、病気にかかりたくないという思いが強くなると、それは不安やパニックへとつながっていきます。あるいは、すでに問題になっているように差別や偏見に結びついていきます。現在は、SNSの時代です。根拠のない情報や間違った情報が、瞬く間に拡散していきます。一番大事なことは、ひとりひとりが冷静になり、他者に対する思いやりや理解を忘れないことです。感染症に対する情報は、日々変化していきます。情報を取捨選択し、自分が出来ることに目を向けて実行していくことが大切であると思います。

神奈川県内科医医学会 医薬品評価検討委員会委員長

湯浅 章平