喘息など慢性呼吸器疾患をお持ちの人たちへ

最終更新日:2020年05月08日

いま 大切なこと、そして、これからも大切なこと

 新型コロナウイルスは、口や鼻から入り、気管、気管支を通り越して肺に直接取りつき、肺炎が起こりやすいという特徴があります。新型コロナウイルスに感染して集中治療室に入った方の5人に1人が慢性呼吸器疾患を持っていたと報告されています。しかしながら、新型コロナウイルスに感染した慢性呼吸器疾患を持った人全員が、集中治療室で治療されてしまうという意味ではありません。新型コロナウイルスに感染した人の8割以上の人が、酸素投与の必要はなく、診療分類で、いわゆる軽症のままで経過し、治癒することが判っています。そうは言われても、喘息など慢性呼吸器疾患をお持ちの人たちは、とても不安で、心配されていることと思います。

 

 これまで風邪をひくと喘息症状が悪化し、発作を経験されたことがある方でも、医師から処方された吸入ステロイドなどの吸入薬を指示通り、適切に吸入し続けることで、次に風邪をひいても喘息症状が軽く済む経験を、大勢の方がされています。喘息を診断した医師は、喘息症状をおこさないようにするためのお薬(定期吸入薬:長期管理薬)と喘息症状がある時に使うお薬(発作治療薬)を処方しています。中には、同じお薬を追加吸入することができる1種類の吸入薬を処方することもありますが、そのお薬は両方の役割をしていますので安心してください。

 

・皆さんの中で、処方されたお薬、定期吸入薬(長期管理薬)で最も大切である吸入ステロイド薬(+長時間作用性気管支拡張薬の配合薬)が、余っている方はいませんか?

 

・『調子が良くなったから』という理由で、ご自身の判断でお薬をやめたり、通院を中断したりしていませんか?

 

 こうした不適切な治療・管理の結果、風邪のウイルスなどに感染することで、ひどい喘息発作を起こし、救急外来を受診したり、入院したりする方は少なくありません。

 

 新型コロナウイルスも普通の風邪のウイルスと区別のつかない風邪症状を起こし、さらに喘息の症状を悪化させることがあります。喘息症状がなく、調子が良いからこそ、処方されている定期吸入薬(長期管理薬)を指示通り、適切に吸入し続けることが、普通の風邪ウイルスだけでなく、新型コロナウイルスに感染しても喘息症状を悪化せないためにとても大切なのです。

 

 風邪のウイルスに感染しないための手洗い、うがい、マスクや適切な栄養と睡眠などの健康的な生活習慣に加えて、喘息など慢性呼吸器疾患をお持ちの方には、かかりつけの先生から処方されているお薬を指示通り、適切に服用することをお奨めしています。

 

★ いまもタバコ(電子タバコを含む)を吸っている方はいませんか?

 タバコや電子タバコの煙は、慢性呼吸器疾患のある方の呼吸器の状態を悪化させます。さらに、喫煙されている方は、新型コロナウイルスにかかると重症化しやすいことも知られています。喫煙者の方には、直ちに電子タバコを含めて禁煙をしましょう。また、受動喫煙も危険ですので、非喫煙者であっても電子タバコを含めた受動喫煙を避けるようにしましょう。

 

神奈川県内科医学会呼吸器疾患対策委員会委員長

藤沢市民病院  西川 正憲