ごまかされないで、間違った情報に -医療現場から-

最終更新日:2020年05月22日

 以前に以下のようなことを取り上げました。この新しい未知のウイルスのことは、まだ本当に誰もわからないのです。専門家でもないのにコメンテーターが、エンターテインメントのように同じような主張を繰り返しています。不安や苛立ちかが多い時こそ、慎重に考えてください。危機感だけ煽り、感情的に的外れのお話を展開しているその時に、国籍を持たず、国境を持たないウイルスは密やかに感染を拡大しているのです。要旨は以上です。

 人間だからミスはあります。しかしながら、医療事情をさらに悪化させるように導くようで心配です。一部の人でしょうが、真の専門性や肩書きが心配されるような方々が出演し続けて、毎回再放送かと勘違いするように、同じことを繰り返し主張し続ける場合があります。

 日本新聞協会と日本民間放送連盟(民放連)は、「ウイルスの特性を分かりやすく伝え、センセーショナルな報道にならないよう節度を持った取材と報道に努める」、そして「正しく恐れ、人をいたわる姿勢が社会に広がり、安心して暮らせる社会を取り戻していけるよう、報道機関としての役割を一層自覚する」との共同声明を発表しました。新型コロナウイルス感染症に関しては、健康バラエティ番組とは別の次元で取り扱う話であると考えていただければ幸いです。

 今のところ限りある医療資源の中で、欧米のように感染症の爆発的拡大を何とか食い止めることが出来たのは、個別のクラスター対策・社会的距離を保つなど強制を伴わない自粛・死亡数を減らすことを目的に医療資源の重症者への集約・従来の救急体制を守り超過死亡の増加を防ぐ対策などが結果的には幸いしました。それは政治の力ではなく、皆さん国民の力だったのでしょう。しかしながら、本当に合格点をとったかというと、そういうわけではありません。従来の日本人の生活習慣が感染症に対して良い影響を与えたことも十分にあるでしょうが、これからは別の角度から更なる医学的有効な対策を打ち立てていかなければなりません。

 これからも感染の波が幾度となく襲ってくる可能性があります。医療従事者もその職責から、どのような現場でも賢明に行動するのは当然のことと思っています。皆様からの暖かい言葉を目にすること耳にすることで、励みになるという医療従事者は数多く存在し、皆さんに感謝の念を持っています。ただ阻害の因子があるとすれば、特定のメディアの無責任な言動なのでしょう。そのような煽った言葉には悲しい気持ちを感じます。

 繰り返しますが、感染の波はこれからも幾度となく襲ってくる可能性があります。この時もメディアが同じようなことが繰り返すようですと、現場の医療関係者は精神的に疲弊してしまいます。ぜひ皆さんでそのことを考えていただき、この難局を一緒に乗り越えていくことが出来れば幸いです。